地球の温暖化は確実に進んでいます。温暖化が海面上昇を引き起こし、昨年の夏は日本でも今までにない程暑く、予想外の大雨をもたらしました。バングラデシュでは海岸がえぐりとられ、家の土台が崩れたりして海に村全体が沈んで、消えています。
今のペースで温室効果ガスの排出が増えると、85年後には平均気温が4.4℃上昇すると言われています。世界中で暑さによる死者数も年々増えています。今年にはスーパー台風と言われる風速70メートルの台風やハリケーン、サイクロンが増えると言う専門家もいます。1℃の気温上昇でも沿岸線では風の強さが10%強くなるからです。
CO2をほとんど排出してこなかった貧しい途上国がどこよりも大きな衝撃を受けています。気候の変動により住むところを失っている難民、「気候難民」ということばもうまれました。
84年ほど前の宮沢賢治の「僕たち風のこと悪く云う前に自分の方で気をつけりゃいいんだよ。」ということばが私の胸にしみてきます。
松井 洋子
“アンサンブルの愉しみ”
からころのバンドがピッコロのオーケストラピットでの演奏も3年目に入りました。少しずつですがメンバーが合奏をする事にも慣れてきたようです。
ある日「僕もクラリネットで一緒に入って吹いてみよう」と思いメンバーの中で音を出してみました。ところが、僕が今まで経験してきたアンサンブルとはまったく違う体験でした。それぞれが楽譜を追うことに必死で、互いに全く関心なく演奏をしているのでした。僕にとってアンサンブルというのはまさに音楽を使って日常会話さながらに、他の奏者がどんな音を出しているのかに興味を持ちながら互いの音を共有するものです。それが演奏する愉しみでもあります。
この日から5月公演に向けて僕のバンドの稽古の方向性は決まりました。いかにして“アンサンブル”をするかです。気が付くと皆は演奏する事に一生懸命で曲が終わっています。
それでも僕はあきらめずに演奏するたびに話し、そしてまた演奏するという稽古を繰り返しました。その状態が昨年の12月から始め3ヶ月が経ちはじめた頃、「今、他のパートと一緒に演奏した気がする。」「今のは一緒にやっていて楽しかった。」などと“アンサンブル”の愉しさを少しずつですが新鮮な言葉でメンバーから聞けるようになりました。
本番の一ヶ月前あたりからは「歌とはどうやったらあわせられるのか。ダンスとはどうやったらあうのか。」と舞台を共にする人達との “アンサンブル”も意識しだしました。
そのアンサンブルが生き生きとしたものとして観客の皆様に響いてくれることを僕は心から願っています。
松井 学
今回の作品の振付を考えるにあたって、私は「風の又三郎」を何通りかの英訳で読みました。そして、自然の音の描写に魅惑されました。回転する時はwisshh, wisshh、震える時はshiver, shiver、滴り落ちる時にはdrip, drip といった具合に表現されていたからです。
この音の描写は、ダンスのステップのリズムを創り出すのにとても助けになりました。私は、松井学さんが楽譜に表現したメロディーと松井洋子さんが台本に込めた深い思いとを、視覚的に描きたいと思いました。
こうしてまたカラコロのみなさんのためにダンスを創ることは私の喜びです。「風野又三郎」の新しいバージョンをどうぞ楽しんで下さい。
Before beginning the choreography for this year's production, I read several versions of English translations of 風の又三郎 and was captivated by the descriptive sounds of nature. The sound of spinning is described like wisshh, wisshh; the sound of trembling, shiver, shiver, shiver; the sound of falling in drops, drip, drip, drip, and so on.
These sounds helped in creating the rhythms for the dance steps.
I wanted to visually depict the melodies of Gaku-san's score and the thoughtfulness of Matsui-san's libretto.
Creating the dances for Karakoro's members was a great pleasure for me once again. Please enjoy this new version of 風野又三郎!
Jeff Moen
2012年10月に生活介護施設、オーバーザレインボーがオープンし、開所から2年半が経ちました。メンバーも徐々に増え、今では14人のメンバーが在籍しています。からだとこころの出会いの会のメンバーから指導をうけ、支えられながら、絵画・ダンス・音楽・龍舞といった芸術に取り組んでいます。特に、わくわくアートと呼ばれている絵画のプログラムは人気があり、にじみ絵の世界を楽しんでいます。これまでは絵が苦手だと思っていたメンバーも、生き生きとした表情でのびやかに描き上げています。メンバーが描いた作品は、これまでにYWCAシャロン千里での「なごみ展」に出展しています。今年で3度目の出展となりました。また、2013年に開催されたBiG-i Art Collection 2013にて、中谷健人さんの「車庫」という作品が入選しました。今回の公演のチラシ、パンフレットに掲載されているサイクルホールは、中谷健人さんが描いたものです。
また、それぞれが生活の自立に向けて、食事作りや掃除、入浴といった生活の基盤となることもスタッフと一緒に取り組んでいます。昼食用の買い物も昔ながらの市場で店の人と会話弾ませながら、ピクニックのように楽しんでいます。
社会とのつながりの中で障害者も健常者も一緒に笑いあい、感動し、成長していける。そんな場にますます成長しています。
今年で3年目のピッコロでの舞台では「風など世界中に無くていい」、「二百二十日」のシーンにメンバーがスタッフとともに出演します。お楽しみください。