KarakorStage 2006 秋冬
STAGE2 4つのショートドラマとダンス
や乃えいじさんを迎えて
松井洋子
からころことからだとこころの出会いの会の舞台は、群舞による全体的なシーンづくりや、感情のストレートな表出には定評をいただいているが、人間の深み、ニュアンスの表現となるとまだまだ未熟だ。ある戯曲講座の発表会でくるみざわしん作「うどん屋」を観た。憲法が改定され日本が米国の軍事基地化されていく状況の中で、軍用地開発のために立ち退きを迫る役人の女性と、それに反発する店主の二人だけのセリフがやりとりされる10分ほどの短いドラマだった。それは遠い未来のことではなく、米軍再編の舞台となっているこの国への危機意識が鮮明に描かれた作品で、私はとても感動した。
帰る道すがらも、セリフの一つ一つが胸に甦ってきた。出演したや乃えいじさんの演技が素晴らしかった。リアリティがあり、人間の面白さや哀しさが細やかに表現され、静かだが、内に秘めた激しいものを感じさせる演技だった。これこそ、からころの舞台で欠けているものだと痛感した。そこでぜひご指導をとお願いしたところ、や乃えいじさんはたっぷりと時間をかけて私たちのために演技の基礎を伝授くださり、客演のお願いにも応じていただけた。
「うどん屋」に3本の新作ショートドラマ、そしてからころ独自のダンスを加えてお届けする11月ステュディオ公演に、乞うご期待。