昔、朝日の昇る国はいくつもの戦いを繰り返し日本と名付けられました。
春になるとピンク色の桜の花びらがひらひらと舞い、あたり一面が花びらでいっぱいです。
アジアに位置していた日本は、文明国の仲間入りをしようと清と戦争を引き起こしました。
日本は大きくなろうと、ロシアとも戦争を始めました。清とロシアの戦争に勝ちました。
しかしロシアとの戦争でお金を使い、貧しくなり、多くの日本人が仕事を求め、外国へ移り住みました。
桜の種を携えて花嫁がカナダに赴き、桜の木が育つ可愛く小さな家で男の子と女の子を出産しました。
男の子はスティーブ、女の子はナオミと名付けられました。
お母さんが病気のおばあさんを日本に見舞っている時、日本はアメリカに戦争を仕掛けました。
カナダではナオミ達は敵国とみなされ、家も学校も何もかも奪われた上、強制収容所に送られました。
お母さんはナオミ達の元に戻れないまま原爆にうたれて亡くなりました。
ナオミとスティーブはカナダのあちこちに追われました。
桜の木は戦いに傷つきながらもナオミを待ちながら祈りました。
May the world be safe. 世界が平和でありますように。
May the world be kind. 世界が優しくありますように。
May the world forever — Be our home. 私達のふるさと ― 世界が永久でありますように。
年老いたナオミとスティーブは、虫達に導かれるようにして、生まれ育った街に戻ってきます・・・。
松井 洋子