自爆テロや自動車爆弾が市場や繁華街を破壊し、たくさんの人が亡くなっているのは、イラクのバグダッドだけでなく世界のあちこちで起こっている。かつてバグダッドはイスラム世界の文化の中心で、商業が発達し人々は文化的で豊かな生活を送っていた。
高校生のタクミが「空爆があったシリアやイラクの若者が僕達と同じようにスマホやラインを使っている」と興奮した口調で私に伝えた。彼は戦争や紛争で悲惨な目にさらされているのが自分たちと同じ若者や子どもたちだと知ってショックを受けていた。その時、私はアウシュビッツ収容所博物館の元館長、スモーレンさんのことばを思い出していた。
いろいろな国を旅して下さい。
いろいろな国の人たちと仲良くなって下さい。
いろいろな国の文化を知って下さい。
そうしたら仲良くなった人を殺したり、文化を壊したいとは思わないでしょう。
スモーレンさんのことばを多くの人達に伝えるために、私はバグダッドの人達に思いをよせて、舞台をくりひろげた。