KARAKORO STAGE 2017 ストーリー of karakoro2017


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シーンA
「バグダッドの市場」
滔々と流れる2つの川チグリス・ユーフラテス川にはさまれたバグダッド南郊にある兵舎キャンプ・ガンスリンガーで兵士たちが訓練に勤しんでいる。
バグダッドの市場ではにぎやかに食器、織物、菓子など、並べ売られている。
男や女たちが集い、おしゃべりや買い物を楽しんでいる。子どもたちは無邪気に遊び、大人たちを巻き込んで踊りだす。
       
シーンB
「爆撃」
軽やかなダンスとおしゃべりを楽しんでいる人々に突如として爆撃音、銃撃音が襲いかかる。店々が吹き飛び、その場にうずくまる人、逃げまどう人々でバグダッドの市場は騒然となる。
       
「バグダッド今どこに」
スンニ派の横暴なるフセイン政権を倒そうとシーア派の民衆が立ち上がり、その人たちをアメリカが応援するという内戦、宗教戦争が始まった。権力と権力の争い、宗教と宗教の争いは、イラクの人々にとって止めることのできない争いになっていく。この土地を去るか、苦しみ悲しみながら思いとどまるか。そんな人々の口の端から歌があふれ出てくる。

  • 国は争いを始め、大地を失い
  • 人は憎み合い、歴史を汚す
  • ユーフラテスの大河に抱かれ
  • 砂の嵐に飛ばされながら
  • 永久に続いた大地、誇るべき大地
  • 歴史あるバグダッド、我らの大地バグダッド
  • その国が今、どこに歩もうとしているのか
  • 崩れ落ち、舞いあがる砂嵐のどこに
  • その先に、そう、その先に
  • 希望という言葉が生まれるのだろうか
  •            作詞:森井 睦

       
シーン1
スクリーンに、ジョージ・ブッシュがイラク侵攻を発表する記録映像が映る。突然画面が切り替わって、航空母艦上でブッシュ大統領が「勝利宣言」をし、人々が歓声をあげる。
一方、アメリカ兵のコールが、何か思い詰めている様子の班長のアンディーに話しかける。「しっかりしなよ。しょうがないんだから」と。
       
シーン2
アンディーとジョシュの足元にサソリが這っているのを見つけ、ジョシュが弾丸を撃ち込む。「念のため、殺しといたほうが安全だ。イラク野郎とおんなじでね。疑わしいヤツは殺しといたほうがいいのさ」とジョシュが吐き捨てるように言う。アンディーは「隊長に見つかったら面倒なことになる。貴様だっていつ土手っ腹射抜かれて死ぬかわからんぞ」とさとすが、
「そうなったら飛び出した内臓で地面を真っ赤に染め上げてやる」とジョシュはうそぶく。
       
シーン3
遠くから戦車や装甲車などの動き回る音が聞こえてくる。地雷、自爆、一斉射撃、ロケットなど、いつ、何が起こるかわからない。そんな中でロッキーは疲れ果て孤独の影を深めていく。
       
シーン4
キャンプでの午後。ジョシュとコールが話している。
「あたし、医者になりたいんだ。大学へ行って、卒業して、仕事見つけて、ママの面倒を見る」
ジョシュがラップを歌う。

 ♪ 希望? 戦争?
   まず生き延びなけりゃ
   毎日、毎晩、生き延びなけりゃ
   ときにゃ、危ない目にも遭う
   だけど何とか生き延びなけりゃ

何気なくコールが言う。「あたしたち、本当に正しいことしてるのかしら?」
       
シーン5
ロッキーが一人、兵舎で「人間の首が破裂するのを初めて見たときのことは、よく覚えてる。弾けたように血しぶきが飛ぶ。周りのイラク野郎は、あんぐり口を開けて見ているばかり・・・・・・そして俺達は次に向かうんだ。俺達は先に進む」と苦しい心の内をさらけだす。
パトロール中のハンヴィーは絶えず警笛を鳴らし、信号を無視して、バグダッドの街を突っ走る。アンディーと兵士たちが全員で「怪しいものを見たら、ためらわずにぶっ放せ」と叫ぶ。
       
シーンC
「その先に見えるひかり」
女の子が路地から出てきてハンヴィーに近づく。ハンヴィーの機銃席からアンディーが「止まれ!近づくな!」と叫ぶ。子どもがことばがわからず背を向け何気なくうずくまった時、銃の速射音が響き、子どもは倒れる。母親が叫びながら出てきて泣き声をあげて子どもを抱きしめる。アラブの街の人たちが母親と子どもの周りに集まってくる。その目は憤りと悲しみに満ち、やがて歌い出す。

  • どんなに哀しくとも
  • どんなに辛くとも
  • どんなに嘆こうとも
  • どんなに憤ろうとも
  • 誰も助けてはくれない
  • 今日という日を生き延び
  • 明日という日を生き延びる
  • 明日に一筋、光が走るならば
  • その光はきっと、希望という言葉を、
  • わたしたちに投げかけてくれるだろう
  • それを信じて、今を生きる
  • そう、願いを込めて、今を生きる
  • そう、憤り抑え、今を生きる
  • そう、その先に見える光は
  • どんな世界を、見せてくれるのか・・・
  •          作詞:森井 睦


ロッキーと仲間のトレバーが話している。
ロッキーは部隊から脱走をほのめかすと、トレバーは「恐怖に負けちゃいかん。神を信じて自由の為に戦うんだ」と説得するが、ロッキーが言い返す。「護衛なしの航空機燃料ってのは、何としてもヤバイ。俺達は命がけの仕事をさせられようとしてるんだ。上の奴等にしてみりゃ、俺たちの命なんぞ、どうでもいいんだ」と。
       
シーン6
コールが夢の話をする。「あたし、イラク人ゲリラを監獄まで連れて行く途中、ヤツらを見るとみんな悪魔なんだ。あたしをバラバラに切り刻む。それを悪魔はむしゃむしゃ食べるんだ」アンディーもまた夢の話をする。「床は血だらけでナイフが転がっている。『まるで噴水だぜ、この血』」コールが「なんでそんな夢ばかり見るんだろう。あたしら兵隊、何もやましいことしてないのに」
「そんなことはない。二人殺して、死体を棄てたじゃないか」とアンディーが反撃する。コールが「あいつら、命令にそむいたんだ。撃ち殺されて当然だよ」と言い返す。その二人の様子をジョシュが故郷に送ると言ってビデオを回している。
       
シーン7
朝、ロッキーは脱走をくわだて、ジープに飛び乗り走らせている。警察署の前のベンツがロッキーの目の前で破裂し、ドカーンという音とともに並んでいた警察志願のイラク人たちが空中に飛ばされた。
       
シーン8
アンディーとジョシュが屋上からガソリンスタンドをガードしている。相変わらずジョシュがビデオを撮っている。
「朝、六時。おはよう、母さん。今日の俺たちの任務はガソリンスタンドの警備でね。ガソリンスタンドには、いつも長い行列が出来てる。三キロを越えることもある。危ないよねえ。イラクの連中はガソリン中毒でね。ガソリンが切れると、気が狂ったように騒ぎ出すんだ・・・」
そして恋人のシャーレーンに「これが俺の毎日なんだ、シャーレーン。世界の秩序とデモクラシーを守ってるんだ・・・イラク人がキチガイにならんように、ガソリンを配給してやるのも仕事の一つでね」
次にジョシュはアンディーにビデオを向けて「ケイトリンて名前の赤ん坊に何か言ってやれよ」と言うが無視するアンディーに「ほら、笑って。殺人鬼の笑いを見せてよ、班長。イラク野郎を撃ち殺す時に見せる、あの笑いだよ――」
そこにコールが「あたしも同罪よ」と騒動が起こった時のことを話す。
       
シーンD
「今日もまたひとは死んでゆく」
群衆がガソリンスタンドで係員に押し返されている。騒がしいクラクション、そこかしこで興奮して小競り合いも起こっている。そんな時、ライトバンの走行音が聞こえる。コールがトラックを指差しながら叫ぶ。「止まれ!」アンディーが「近づくな!」と叫ぶ。
コールがライトバンめがけて発砲し、ライトバンが横倒しになる。一人の男と子どもが放り出されてアメリカ兵に向かって「助けてくれ、お願いだ」と懇願する親子を次々に殺していく。行列の大きな騒ぎは一瞬にしておさまり、一人の男が静かに歌いだす。歌は次から次へと広がりをみせる。

  • 今日もまた 無残に、人が死んでゆく
  • 今日もまた、憤りに、人は死んでゆく
  • 今日もまた、哀しみに、人は死んでゆく
  • 昨日見た景色は今日も通り過ぎ
  • 繰り返しの日々は明日も続いていく
  • そんな日々を送りながらも、わたしたちが願うのは
  • 心が沈み張り裂けようと
  • 泪で哀しみに沈んでいようと
  • 身体が憤り震えていようと
  • この国に求めているものは
  • 私たちが歌える、私たちの歌
  • 身体の全てで、想いを込めて歌える歌
  • ただ、ただ、想いを込めて歌える歌
  • 私たちが生きることのできる歌
  •           作詞:森井 睦

女の子三人が鳥になって世界中に民衆の哀しみや苦しみを伝えるためにハミングで思いを奏でる。
       
シーン9
空港には逃げ込めなかったロッキーは心の内を話し出す。「不足していて装甲車もヘリコプターもつかない航空機燃料輸送の任務についていた三四三部隊が、待ち伏せにあい、猛烈な銃撃戦になってタンクローリーは爆発し、仲間のトレバーはやられてしまった。トレバーの熱い自分の将来への思いと国への忠誠心も、ガソリンと一緒に空中へ吹っ飛んじまったってわけだ・・・」
爆撃で瓦礫になったビルの中へ自分たちが殺した親子を棄てたアンディー、コールと、ジョシュが話している。コールは「あの子は殺されて当然だったんだ。こっちの警告を無視したんだから」、ジョシュが「そうとも限らない」と答えるが、アンディーは「あの二人はガソリンスタンドをハイジャックしようとしてたのかもしれない」とつぶやく。
       
シーンE
「命もえるとき」
ロッキーのところに突然イラク人の年老いた男が助けを求めながら駆け寄ってくる。「家を燃やされた。子どもたちがまだ家の中にいる」と。
ロッキーはイラクの老人を突っ放そうとするが老人は必死にしがみついて離さない。気がつくとロッキーは一発、二発、三発と男の顔を殴っていた。男はそのままゆっくりと倒れたと思ったら、すでに死んでいた。
ロッキーは「殺すつもりはなかった。助けなきゃいかん、子どもたちが何をしたって言うんだ・・・」とつぶやく。
子どもや女たちをいためつけていた男たちが、違う宗派のゲリラの二人の男に屋上から突然撃ち殺される。家族の中に女の子二人が、恐怖と哀しみにふるえ歌い出す。

  • 恥を知りながら
  • 生きていくことの
  • 哀しみが、どんなに
  • 心を顫えさせるか
  • お前たち男には きっと、分からない・・・
  • 生きること、切なきや  生きること、哀しきや
  • 生きること、嬉しきや  生きること、輝かしき
  • いのち、ほろほろ燃えるとき
  • 憎しみ、捩れ
  • いのち、きしきし滅ぶとき
  • こころ、渦巻く
  • ああ、生きることの嬉しきや
  • ああ、生きることの輝かしき
  • 願うは、なにか・・・
  •        作詞:森井 睦

       
シーン10
夜、ジムでエクササイズをしているコールのところにジョシュがやってくる。ジョシュがコールに話しかける。「最初に人を殺したときのこと、思い出してたんだ。ドア蹴破って、家ん中に飛び込む。イラク人の怯えた顔。俺たちは機関銃を撃ちまくる。壁が真っ赤に染まっていった。あれが初めてだった。おまえ、泣き出した。そのおまえが今はどうだ。もう血を見たって顔色一つ変えない」と言うと、コールは「あたしには、いろいろやりたいことがある。望みがある。そのお陰で、血の海も平気になったの」と答える。
ジョシュが「『イラク撤兵、平和を目指せ』なんてイラク人が喚いてるが、俺たちこそ平和が欲しいからこそ、こうして戦ってるんじゃねえか。平和が欲しいからこそ、抵抗分子を全滅させようとしてるんだ。血を見ずに平和が手に入るとでも言うのかい?」と問いかける。
コールが「模範兵ね、あんたって」と答える。
       
シーン11
三四三部隊がタンクローリーもろともなくなってしまった場所に脱走したロッキーが向かう。現場には何もかもが吹っ飛んでしまって真っ黒焦げの窪みと赤い血のあとだけしか残っていない。もちろん仲間のトレバーの姿もない。
ロッキーが狂ったかのように歌う。
「走れ、走れ、死体をぬって。爆弾で出来た、穴ぼこ避けて。真っ赤だ、熱いぞ、爆発現場。仲間が吹っ飛ぶ、形が歪む。赤い血、飛び散って、噴火山の溶岩。真っ赤だ、熱いぞ、血の海だ。走れ、走れ、クソったれ!貴様ら、消してやる、クソったれ。一人残らず、消してやる。俺たち消すんなら、お前らも消えろ。お互い同士の、消し合いだ」
       
シーンF
「歪んだ星条旗」
いよいよ任務を終え明日帰国の兵士四人が兵舎の屋上で浮かれ、酔っ払ってはしゃいでいる。
       
シーン12
夜、アンディーがベッドに座って祈りを捧げている。ジョシュが戸口に現れる。アンディーが「お前、なんで軍隊になんか入ったんだ?」と聞くと、ジョシュが答える。「何かに属したかったのさ。少しばかり世の中を変えられるかもしれない、そうも思ったしね。正義の為に身を捧げてるんだ」
アンディーが「そりゃあ、錯覚だ。機関銃が好きで入ったんだろ?」と聞く。ジョシュのことばが続く。「あんたの信じてる神と、アラブ野郎が信じてる神とは違うんだろうね。この国がめちゃめちゃになってくのを神は見て歓んでるんだろうか」
屋上では酔っ払って羽目を外し馬鹿騒ぎをしている兵士の一人が、乾いた銃声とともに屋上から転げ落ちていく。
その様子を、アラブの家族、祖父、祖母、母、妹たちと一緒に見つめている。父と兄はいない。
       
シーンG
「魂が響く時」
「俺、希望は捨ててない」とジョシュが語ると、アンディーが「希望が欲しいんなら、こんなところから早く足を洗うことだな。このままじゃ、俺達はみんな焼け死んでいく」
ジョシュが「俺の希望はフィアンセのシャーレーンだ。戦場で弾丸の雨を浴びてても、故郷でシャーレーンが待っててくれる、そう思うと・・・」続いてジョシュは「あんたは、いい家庭を持ってる」と言うと、しばらくの沈黙の後アンディーが「トイレが故障したって言ってる。俺が直してやれればいいんだけど・・・。」と答える。
ジョシュが「俺たちいつイラク人に殺されるか分からんのに、そのイラク人を守ってやらなきゃならないなんてねえ。だが、まあ、死んでしまえば敵も身方もない。みんな同じ犠牲者だ。殺し合いで結ばれた兄弟だ。俺、あんたらが殺したその親子を命の河ユーフラテスに流してやりたい」と話す。いつの間にかコールがやってきて、「あいつらを手厚く弔ってやろう」と、三人で出かける。
       
シーン13
ロッキーが三四三部隊が襲撃された跡地で指がはまったままの指輪を見つけ、手に取る。ふいに背後でトレバーが「それ、俺の指だ。返してくれ」と現れ、「どうしてお前だけがそこにいるんだ。俺たちは煙になって消えた。無念の煙になってな。なのにお前は・・・」と言う。ロッキーは集めた唇、鼻、いろんな色の皮膚を並べ、そして鉄パイプとヘルメットで墓標を作る。「貴様の墓標だ。神聖な、貴様の墓標だ」とトレバーに話しかけると、「生き延びろよ、ロッキー。石にしがみついてでも生き延びるんだ」と答え、トレバーが姿を消す。
       
シーンH
「そう、いつの日にか」
米兵が弾痕生々しいモスクを襲う。中には二人の抵抗分子がいる。アラブの男たちも出てきて銃撃戦が交わされる。逃げるに逃げられない母親と子どもも米兵が殺してしまう。そのあと、それぞれ思いを駆け巡らせながら米兵たちが集まると、ハンバーガーを出し、もくもくと食べ始める。誰も、一言も、ことばを発しない。やがて一人、一人と眠っていく。兵士たちがまどろみ、同じ夢を見る。夢は、障害者や子どもなどが関係なくボディチェックを受けている。ボディチェックを受けた人たちだけが戦車を作ることを許され、風船で戦車を次々と作っていく。七色の風船のゲートを、兵士にかかげられ小さな赤ん坊がくぐり抜けていく。
舞台のあちこちにアラブの女たちの亡霊が現れる。女たちがしずかにメロディをハミングし、それが広がっていき、歌になっていく。

  • いつの日か
  • そう、いつの日か
  • 眩暈するような希望が
  • わたしたちの魂を
  • 激しく顫わせて顫わせる
  • 青き空よ、白き砂よ
  • いつの日か
  • そう、いつの日か
  • 眩暈するような希望が
  • たとえ瞳が暗くとも
  • わたしたちの魂を
  • 狂わせ揺さぶるだろう
  • 青き空よ、白き砂よ
  • ひたむきに、ひたすらに
  • 閃く光、鋭くに
  •      作詞:森井 睦

夢の中に、鳥になった三人の女の子が現れて、アメリカ兵、アラブの人たちを癒すかのようにハミングを始める。
       
シーン14
ジョシュ、コール、アンディーが、自分たちが殺した親子を弔うために、壊された建物の中に周囲に気を配りながら入っていく。三人が死体を運ぶため手をこまねいている時、誰かの声がする。「誰だ!」
「ハロー」と言いながらロッキーが皆の前に現れる。コールが脱走兵のロッキーだと気づきここを去るように促すが、ロッキーは手伝うと言って聞かない。ロッキーはアラブの男の耳を切り、子どもの緑の目をえぐりだす。コールは苛立ちロッキーを撃ち殺してしまう。
アンディーは「脱走したとはいえ、アメリカ兵だ」とコールに自首を迫る。しかし「おめおめと自首なんか出来ない。あたしには人並みの暮らしへの鍵、それが欲しいだけ」と言い争っていると、ジョシュがアンディーを撃ち殺す。
コールがつぶやく。「あたしら、なぜここへ戻ってきたんだろう。あたしが戻ってきたのは、夢を守るため。この任務を終えて故郷に帰ったら、あたしは月千百ドルの奨学金を三十六ヶ月間もらえる。学費を全額まかなえるわけじゃないけど、助かる。あたし生物は得意だったし、人間の内臓も随分見てきた。必ず腕ききの外科医になってみせる。ママだけは、診察も手術も無料」とつぶやく。
       
シーンJ
「励ましの言葉」
娘を助けた父と兄が母、姉と妹、祖父、祖母と別れのために出てくる。去りゆく父をじっと見送る家族。兄の眼には泪が浮かんでいる。兄は父と行動を共にしたかったが、これからのイラク は自分たち若者が創っていかなければならないと、やむなく残ることを決意した。家族たちは歌う。

  • 生きていてほしい
  • 何があっても生きていてほしい
  • 生きてさえいてくれればいい
  • 生きるべきだ
  • 生きてさえいればいいことがあると
  • ためらいながらしか言えないけれど
  • 未来に何も 期待できないこの世の中で
  • 気持は分かると言えないけれど
  • 追いつめられて
  • おののき怯えるあなたに
  • 励まし言葉一つ言えないけれど
  • 生きていてほしい
  • 何もいいことがなかったとしても
  • 奇跡のように生きていてほしい
  • そして、今は生きていますと
  • 生きて、生きていてよかったと
  • これこそが人生なんだと
  • かすかに濡れる目で
  • いつまでも見つめあいたい
  • 生きていてほしい
  • 何があっても生きていてほしい
  • 生きていてくれればいい
  •        作詞:森井 睦

       
エンディング
「鳥たちよ、狼たちよ」
父が服を着替え、女性の同志と共に拳銃を取り出し、何発も何発も発射する。死んだはずのアラブ人、アメリカ兵が一緒に歌い出す。アラブ人もアメリカ兵も、ともに戦争の犠牲者なのだ。

  • 歴史の中に埋もれた
  • 秘めやかな囁きが聞こえてくる
  • 鳥たちが飛び去ったあとで
  • 樹々の梢は顫えているか
  • 涸れた泉のそばで息絶えた
  • 狼たちはどんな眼をしていたか
  • 生きることの厳しさを
  • 愛することの切なさを
  • 泪を流すことの美しさを
  • 眩暈するような希望を
  • 熱き炎と輝かせた
  • 天翔ける男や女たちの
  • 無垢なる魂は
  • 何処へ、いま、何処の地へか
  • 歴史の中に葬むられた
  • 哀しみの囁きが聞こえていますか
  •        作詞:森井 睦

文責:松井 洋子


       
       

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