- マース・カニングハムが率いるニューヨークの前衛舞踏集団と音楽家ジョン・ケージによるコンテンポラリーダンスを初めて観たのは今から30年近く前になります。大きな体育館のなかに四方八方から黒い衣装に身を包んだたくさんの男女が次々と登場し、無音で始まったダンス。それは殺伐とした都会の雑踏のようでもあり、ばかでかいアリがあちこちにたむろしているようにも見えました。私は「これはいったい何を表しているのだろう?」と頭をひねり、考えに考えました。しかし何の考えも浮かばず疲れるばかり‥‥。そのうち考えるのをあきらめて、ボォーとした頭で感じるままに舞台をながめていると、人間の動きの面白さにひかれて私の身体のうちも動きだし、気がつけば夢中になって舞台にのめり込んでいました。
- 「なぜ人々は新しいアイデアを恐れるのか私には理解できない。私は古いアイデアこそ恐れている」と言い放ったジョン・ケージ。“自然に聴こえてくるものすべてが音楽になり得る”という彼の哲学を見事に作品にした音の世界にも、その時私は強く引き込まれました。
- 私は奥深い原生林の中にさまよい、身体の中からいろんな気持ちがわき上がってきました。それは悲しみであったり、得体の知れない怖れであったり、時にはそよ風のようにやさしい気持ちが広がったり‥‥。
- からころ——からだとこころの出会いの会——では、今年もマース・カニングハム・ダンススクールのJeff Moenさんと奥山由紀枝さんを振付とダンス指導に招き、楽器演奏とコンテンポラリーダンスのコラボレーションを行います。
- 今回のステージでは、知的で創造的なサン=サーンスと、軽快で美しい旋律をもつプーランクの作品に挑戦します。
- 時に自由な物語を添え、語り付きでサン=サーンスの組曲「動物の謝肉祭」は、ニューヨーク、ロンドン、イスラエル、そして東京など世界中の有名なダンスグループ、バレエ団によって取り組まれていますが、それらとは全く異なる意外性のある舞台です。
- ゴミを処理するために莫大な費用をかけ、大量生産、大量消費を背景に野放しにされてきた大量廃棄。そのやり方が行き詰まっているのは日本だけでなく、世界的な規模で引き起こされているグローバルワーミング————地球温暖化の問題。そんなことにも心に留めながらつくった私たちの舞台は、よく見ればペットボトル、新聞紙など私たちの日常生活から排出されるたくさんのゴミでできています。
- ゴミとどう関わっていくのかという切実な課題を意識しながら、子どもも大人も一緒に稽古を続けてきました。リサイクルには3種類あることも学びました。生ゴミを堆肥に変えるような質の向上をともなうアップサイクル、使用済みの物を元の状態に戻すリサイクル、もとの物質よりも質を下げてしまうダウンサイクル‥‥。楽器に取り組みながら、ダンスを踊りながら、地球全体のアップサイクルに私は少しでも貢献できる人間になりたいと思いました。
- 30年前、私に大きな影響を与えたジョン・ケージとマース・カニングハムが創造した芸術の世界が、今、時代に呼応し、変化しつつ私のイメージをふくらませながら甦ってきます。観客の一人ひとりの皆さんがそれぞれに自分にひきつけ、うちなる世界を映しながら楽しんでもらえたらうれしいです。
- ●入場料
- 3,000円(税込) ※全席指定
- チケットをお申込みの際に公演日時をご指定ください。
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- ●主催・お問い合わせ先
- からだとこころの出会いの会
- 〒532-0011 大阪市淀川区西中島6-6-17-201
- tel.06-4806-4355 fax.06-4806-4356
- mail office@karakoro.org
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